健康診断で「血圧が高めですね」と言われたものの、自覚症状がないため、つい後回しにしてしまう方は少なくありません。高血圧は痛みやだるさといったサインが出にくく、気づかないうちに進行していくことから「サイレントキラー」とも呼ばれます。けれども、日々の生活習慣を少し見直すだけでも、血圧の数値はゆっくりと変わっていくものです。ここでは、高血圧の基準や家庭での血圧の測り方、毎日の暮らしのなかでできるセルフ管理のポイントを、やさしく整理してお伝えします。難しく身構える必要はありません。まずは「自分の血圧を知ること」から始めてみましょう。
血圧の正常値と高血圧の基準
血圧には、心臓が血液を送り出すときの「上の血圧(収縮期血圧)」と、心臓が広がって血液をためるときの「下の血圧(拡張期血圧)」があります。一般的な目安として、診察室で測った血圧が上が140、下が90を超えると「高血圧」とされます。一方で、家庭で測る場合は基準がやや低く設定され、上が135、下が85を超えると高血圧の範囲と考えられています。これは、家庭のほうがリラックスした状態で測りやすく、より普段の数値に近いとされているためです。なお、上が120未満、下が80未満であれば、もっとも望ましい範囲とされています。一度の高い数値だけで一喜一憂せず、複数回・複数日にわたって測った傾向で見ていくことが大切です。
家庭血圧の測り方
家庭での血圧測定は、自分の体の状態を知るうえでとても役立ちます。測るタイミングは、朝と夜の1日2回が基本です。朝は起きてトイレを済ませたあと、食事や薬の前、座って1〜2分落ち着いてから測ります。夜は就寝前、入浴や飲酒の直後を避けて測るとよいでしょう。測定の際は、背もたれのある椅子に座り、腕帯を心臓と同じ高さにして、会話をせずにリラックスして行います。1回だけでなく続けて2回測り、その平均を記録しておくと、より参考になります。毎日同じ条件で測り、数値をノートやアプリに残しておくと、ご自身の傾向が見えてくるだけでなく、受診した際に医師が状態を把握する手がかりにもなります。
生活習慣によるセルフ管理(減塩等)
血圧の管理で大きな鍵を握るのが、毎日の食事と生活習慣です。なかでも取り組みやすいのが減塩で、塩分の摂りすぎは血圧を上げる要因のひとつとされています。汁物を薄味にする、麺類の汁を残す、加工食品や漬物を控えめにする、といった小さな工夫の積み重ねが効いてきます。だしや香辛料、酸味をうまく使うと、塩分を減らしても物足りなさを感じにくくなります。あわせて、野菜や果物を意識して取り入れること、ウォーキングなどの軽い運動を習慣にすること、適正な体重を保つこと、お酒を飲みすぎないこと、睡眠をしっかりとることも、血圧を穏やかに保つ助けになります。喫煙されている方は、禁煙も体への大きなプラスになります。どれも一度に完璧を目指す必要はなく、できそうなことから少しずつ始めていくのがコツです。
受診と治療の考え方
生活習慣の見直しを続けても血圧が高い状態が続く場合や、もともとの数値がかなり高い場合には、医療機関を受診して相談することが大切です。高血圧の状態が長く続くと、血管や心臓、腎臓などに負担がかかることがあるため、自己判断で放置せず、専門家の意見を聞いておくと安心です。治療では、生活習慣の改善とあわせて、必要に応じてお薬が用いられることもあります。ここで気をつけたいのは、すでにお薬を処方されている方が、調子が良くなったからといって自己判断でお薬を中断しないことです。血圧が落ち着いて見えても、それはお薬が効いている状態であることが少なくありません。やめたい・減らしたいと感じたときは、必ず主治医に相談してください。血圧管理は、医師と一緒に長く続けていくものと考えると気持ちが楽になります。詳しい情報は日本高血圧学会のサイトも参考になります。
まとめ
高血圧は自覚症状が出にくいぶん、数値という形で自分の体と向き合うことが何よりの一歩になります。家庭でこまめに血圧を測り、減塩や運動、体重管理といった生活習慣の工夫を無理なく続けながら、気になるときは医療機関に相談する。この積み重ねが、血圧と上手につきあっていく近道です。今日からできる小さな一歩を、ぜひ見つけてみてください。
※本記事は医療アドバイスではありません。気になる症状や数値がある場合は医療機関を受診してください。